神仏習合と日本文化の特質

 日本人の宗教行動として、神社にもお寺にも参詣するという行為は一般的である。

 これは欧米から入ってきた宗教観、一神教の宗教形態と比較して考えると不自然に思えるが、万の神々を信じ敬う日本人は宗教の多様なあり方を認め、全ての生活規範を強制する宗教より温和であり、融和的な日本人の宗教感を考えなければならない。

 そして仏教と神道との住み分け分業もなされており、秩序をもって相互に補完しあっているのである。

 しかし明治のはじめ国家神道を確立すべく神仏分離令による廃仏毀釈の運動が盛んになり仏教は大きな打撃を受けたが国家による宗教の強制は失敗し宗教の自由が確立したとされ、宗教はあくまで個人の問題とされたのである。

 日本の神仏関係は神仏習合と、神仏隔離の両方を含むものであり、あえて言えば、その全体を広義の神仏習合と呼ぶこともできる。

 仏教はインドで起こった「仏陀(お釈迦様)」の思想であるが、中国・朝鮮半島から形を変え、壮大な体系を確立したが、そのままの形で日本に入ってきたわけではない。仏教も日本に対応した形態を取ったということは日本人の思考の融和性がありそれが神仏習合で現在までも多くの人々の信仰を集めている原因ではなかろうか。

 そして信仰の根本にあるのは、「現世安穏・後生善処」といわれるように、現世の平穏とその延長上に来世も浄土での生活を享受したいとの願いである。

 そして祈りの場所は、山や川、樹木に囲まれた自然とのふれあいの中で神と先祖との出会いがありお祈りをする。

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